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2022/03/17

ヴォキャブラリー研究

lethal/fatal/deadly vs mortal

オミクロン株の致死率(fatality rate)がインフルエンザより高いか低いかが専門家の間で議論されています。オミクロン株に関しては陽性者全体の中の死者数を割り出しているので正しくは陽性者死亡率(mortality rate)と言わねばならない。ウイルス自体の感染者を死に至らしめる割合である致死率(fatality rate)とは区別されねばならないと思う。

さてmortal(死の) という単語はラテン語mortum, mori(死)に由来する。中世ヨーロッパで黒死病後に流行した標語で有名なmemento mori とは「死を思え・死を忘れるな」という意味だし、im=notを付けるとimmortal は不死の という意味になる。

一方fatal は致死の、まさしく死に至らしめるという意味で、He was fatally shot with a gun. と言えば彼は撃ち殺されたという意味になる。(He was critically wounded by a gun shooting. ならあくまでも瀕死の重傷をを負ったという意味なので死んではいない)

名詞形はfate (運命)である。なぜfate(運命)が致死のという形容詞を持つのか?

fateという言葉の意味をよく考えてみると、destiny というもう一つの運命を表す単語が、例えば open up your destiny with efforts (努力で運命を切り開く)というようにポジティブな意味合いを持つのに対し、fateは「死すべき運命」という意味である。

フランス語のfemme fatal が死をもたらす運命の女性という意味からも推察できよう。

英語にはほかにも致死を表す言葉がある deadly やlethal などである。

deadly はdead にly を付けただけなので分かりやすい例えばdeadly virusというように使う。一方、lethal はlethal dose 致死量とかlethal weapon これは核兵器という意味で使われる。がなぜlethal という言葉に致死という意味があるのか?

ギリシャ神話では冥界と現世の間に川が横たわっているのをご存じだろうか?仏教でいう三途の川と相似形の発想なのだが、ギリシャ神話ではレテ川(the Lethe)という。

lethal とはすなわち、三途の川を渡る、冥界へ行くという意味だったのである。

因みに冥界の王はPluto で レテ川にいる現世と冥界への渡し守はcaronであり、冥王星とその最大の衛星はここから名前が取られている。